「僕はいかにして指揮者になったのか」(佐渡裕)

まず行動を起こすことが大切と思い知らされた

「僕はいかにして指揮者になったのか」
(佐渡裕)新潮文庫

日曜朝のテレビ番組
「題名のない音楽会」の
司会者を務めたことで
(2008年4月から2015年9月)で有名な、
指揮者の佐渡裕によるエッセイです。

偉大な指揮者・カラヤンが、
写真を見る限り常にしかめっ面を
していたせいでしょうか、
音楽家(特に指揮者)というと、
何かこう、気むずかしい人が
多いような先入観があります。
でも、
佐渡裕は気さくな人だと思います。
テレビで見ていても気さく、
コンサート見に行きましたが
やっぱり気さく、
およそ指揮者臭のしない人です。

実は私は佐渡裕を、
有名になる前から知っていました。
十数年前に買った、NAXOSという
海外のレーベルが制作した、
イベールという作曲家の
管弦楽曲集のCDです。
ジャケットには
「Conductor:Yutaka Sado」と
ありました。輸入盤なので
日本語解説はありませんでした。
「Sado」とはもしかしたら日本人?
日系人ということもあるかも?
それ以来、クラシック音楽の情報で
ちょくちょく名前を
目にするようになりました。
ほどなく「ブラスの祭典」という
吹奏楽のCDが日本でリリースされると
大ブレーク、今に至るわけです。

さて、本書を読んでみました。
驚きました。佐渡裕の指揮は、
ほとんど独学(といっても音大は
出ている)だったのです。
こつこつと指揮者の経験を積み、
世界のバーンスタインと小澤に
認められたのです。
驚異的なキャリアといえます。
この行動力を学ぶことこそ、
本書を読むべき理由といえます。

音楽大学を経て、
指揮者の勉強をしたから
指揮者になれるというものでは
ないのです。
何事もそうですが、
やはり大切なのは行動力です。
とにかく挑戦してみる。
そして人と繋がる。
そこから道が開けてくるのです。

人は何かになろうとするとき、
どうしたらなれるかを
まず考えてしまいます。
「○○になるには」というような本を
はじめとする、「なり方」のマニュアルが
流行るのもうなずけます。
もちろんそれは大切なことなのですが、
それ以上に
行動力が必要だと思うのです。
先日紹介した
「表現する仕事がしたい!」にも
書きましたが、
まず行動を起こすことが、
特にこうした世界では
大切なのでしょう。

進路を考え始めた中学生、
そして吹奏楽にはまっている高校生、
そしてまだまだこれから頑張るぞと
気合いを入れている壮年世代、
そしてお茶の間からTVごしに
佐渡裕を応援しているおばさんたちに
お薦めの一冊です。

(2020.4.14)

Thomas SteinerによるPixabayからの画像

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